労働生産性の高さで業界を選ぶなら[就活][業界研究]
前回、労働生産性の高さが業界選択の基準の一つになることを書きました。
今回は、この記事にある法人企業統計と労働生産性統計を実際に見てみます。
統計の中身をみた上で、もう一度就活をするならどの業界にするかを考えます。
多少なりとも参考になるものが少しでもあればと思い書くものですので、
書いている私自身の考えによるものです。
この通りに選んだ方が良いと言うつもりは全くありません。
どの業界にしたら良いのか全然絞れない。
興味のある業界はあるけど他に良いところはないのかな?
このように感じている学生に読んでほしい記事です。
目次
労働生産性とは
まず、労働生産性の意味をもう一度確認します。
労働者がどれだけ効率的に成果を生み出したかを定量的に数値化したものであり、労働者の能力向上や効率改善に向けた努力、経営効率の改善などによって向上します。
一言で言えば1人当たりの労働の成果です。
そして、労働生産性が高くなるとどうなるかというと、
労働生産性の向上は、企業の利益の拡大につながるだけでなく、従業員の賃金を上昇させる原資にもなる
つまり、生産性が上がれば給料も上がることになります。
ということは、労働生産性の高い企業、もしくは上昇している企業に就職することで、
就職してからの給料が良くなる可能性が高いという結論になります。
そして、労働生産性を向上させるためには、技術の進歩・労働力の投入・設備投資をすることが必要になります。
つまり、効率の良い経営・労働と設備投資をしている企業が良い企業と言えます。
こういったことがあるので、労働生産性の高い業界はどこか?という観点で業種を比較してみることは、
志望する業界を選択するための良い判断材料となります。
もちろんこれは給料や労働条件に関わる点に絞った話です。
事前に考えていた業界があるならそちらを優先したほうが良いでしょう。
志望する業界が2、3個あり、どうしても一つに絞り込めないときに少し参考にするといった使い方のほうが良いかもしれません。
日本の労働生産性
日本の労働生産性は全体で見てみれば、
労働生産性は1995年から大きく変化はしていません。
国別で見ると労働生産性の上昇率が1番高いのはアイルランドです。
(OECD加盟国なので先進国のみの話で中国とアメリカは除きます。詳細はこちら、図6)
海外で働けるならアイルランドで働くのが一番良いのかもしれません。
次に主要産業別に見てみます。
これを見ると、
図の右側の製造業では石油・石炭製品、化学、情報通信機器、一次金属の順に高く、
左側の主要産業別では不動産業、電気・ガス・水道、情報通信業、金融・保険業の順に高くなっています。
ですが、これは2016年度だけに限ったものです。
2016年度以前もこの図と同じように労働生産性が向上していたかは、
残念ながら資料が見つからなかったのでわかりません。
例えば産業別の労働生産性は不動産業が一番となっていますが、必ずしも不動産業が労働環境が良く、給与が良いとは限りません。
選ぶならどれ?
ここまで見た上で、就職先の業界を選ぶならどれか?独断と偏見で選びます。
1つ目は製造業です。
上の図を見てみると5番目とそれほど高くないように見えますが、
これは2016年度の単年度のみです。
時系列で見れば、労働生産性はここ20年間は他の産業と比べて安定的に伸びています。(資料)
海外の企業も含めて常に競争にさらされている中で、
設備投資などを続ける必要があるからでしょうか。
製造業にも業種がいくつもあるのですが、
残念ながら業種別の上昇率を示した資料は見当たりませんでした。
財務省の法人企業統計を見てみると業種別では、汎用機械、金属製品、化学、電気機器が、
2013年からの数年間で利益が安定的に伸びてきています。
製造業の中では汎用機械、金属製品、化学、電気機器が狙い目と言えます。
また日本の産業の中心である自動車の分野があるので輸送用機械は王道です。
2つ目は情報・通信業です。
こちらも上の図には高いところに位置します。
労働生産性も世界的に上昇の傾向にあります。(資料)
同じく 法人企業統計を見てみても、2013年度から安定的に利益が上がっています。
一つにまで絞り込めてはいませんが、産業別、業種別で1つに絞っても複数の企業が存在します。
この二つの産業をみるだけでも選択肢はかなり存在します。
まとめ
以上のことをまとめると、
労働生産性と法人企業統計をみた上で業界を選ぶのなら、
この記事を書いている私なら製造業と情報・通信業の二つにします。
とはいっても、今私が働いているのは全く別の業界です。
労働生産性が高ければ、給与や労働環境が良い可能性が高いですが、
たとえ同じ会社でも部門や職種が違えば労働条件は全く違います。
あくまで業界を選ぶ基準の一つということをふまえた上でという話なので、
他に興味のある業界があるのならそちらを優先すべきでしょう。
前回の記事でも書いていますが、
自分の目で確かめてみることが大切です。
時間がるときに、引用元の資料を一度目を通しておくのも良いかもしれません。