「就活ルール」廃止、中小企業から見るとどう映る?
今月初めに経団連の中西会長から出た「就活ルール」の必要性について、
昨日、日経新聞で報道されていたので取り上げてみます。
就活のスケジュールを経団連が決めることへの疑問から生まれた今回の話ですが、
本当に「就活ルール」を無くすかは、これから検討していく段階です。
正式に決まったわけではないので、これまで同じようなスケジュールで動く可能性は当然も高いです。
今回は「就活ルール」がなくなるとどうなるのか?中小企業の視点から考えてみます。
目次
中小企業から見たらどう映る?
大手の動きが読めなくなる
学生から見たら「就活ルールなんて、もともと守られていなかったじゃないか」と感じることでしょう。
3月に広報開始・6月から選考開始のはずが、6月1日に最終面接が行われ、
その週の終わりには大手企業の内内定の第一陣はすでに出揃っているような状態だったからです。
「もともと形骸化していたルールを今更無くしたところで何の問題があるのか?」
そう思わなくもないですが、
厳密に守られていなかったルールではあるものの、かと言って完全に無視されるわけでもなく、
大手企業もある程度は経団連が定めたスケジュールで採用選考を行っています。
そのおかげで、中小企業は大手企業の採用のピークを知ることができていました。
そして大手のピークを外して採用のピークを作ることで効率良く採用をしています。
しかし、もし大まかなスケジュールさえなくなってしまったら、
大手企業の採用のピークがわからなくなってしまいます。
中小企業はいつに採用のピークを持っていけば良いのかわからなくなります。
常に内定辞退の可能性がある
6月に内定が出ることが多いので、内定辞退もその時期に集中します。
中小企業はそのことを見越して採用したり、6月以降に採用を始めたりと対策を立てることができますが、
「就活ルール」がなくなり、大手企業も含めてバラバラに採用を始めると、
中小企業から見れば一年を通して常に内定辞退される可能性があります。
これではもともと計画していた採用数に届かないことが多くなってしまいます。
通年採用をする余裕がない
採用のピークをどこに持っていけば良いのかわからないのなら、通年採用をしたら良いと言う話になりますが、
社員数が少ない企業は一人当たりの仕事の量も多いので、採用に時間と人手をかけることは難しい状況にあります。
そんな中で通年で採用をすると、仕事が増えすぎて通常の業務に支障が出てくるでしょう。
通年採用をしたくてもできない企業も存在するかもしれません。
コネ採用が増える?
大学生にとっては就職の方法は卒業前のある時期に就活をするものだというイメージがなんとなくあるかもしれませんが、
家族で経営している会社などでは、親戚、知人、前職の同僚といったつながりで採用されることがあります。
いわゆるコネというものですが、就活生のイメージするコネは誰もが入りたい有名な企業に入れる人的なつながりのことを指すので、少し意味合いが違うかもしれません。
採用にかける時間も人手もないなら、知り合いを通じて採るしかないという考えに至り、地元の先輩から声をかけられたり、1、2年生のうちからサークルや学部のイベントで企業が接触してくることもあるかもしれません。
21卒は引き続きウォッチしよう
学生にとっても企業にとっても不安になる話ですが、冒頭に書いたようにこれから検討していく段階です。
本当にルールが変わるかどうかはまだわからない以上、あれこれ考えても仕方ありません。
学生も企業も就活の進め方にお互いの了解があるほうがやりやすいので、
「就活ルール」が正式になくなったとしても、今とそう変わらない流れでの就活が一番可能性が高そうではあります。
実際にどのような流れになるか、引き続き報道を見続けていきましょう。