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円安亡国 ドルで見る日本経済の真実〜 を読みました。

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こんばんは。

本を読んだので読書感想文を書きます。

最寄駅の書店によく行くのですが、新書を中心に本を数冊買うという行為を繰り返していると読みきれない本がたくさん出てきたというありがちな事態に笑

なのでまずはたまってるのを消化しようと思いました。その一環として買ってから放置されていたこの本を読んだ次第です。

読んだ本はこれ

 

円安亡国 ドルで見る日本経済の真実 (文春新書)

円安亡国 ドルで見る日本経済の真実 (文春新書)

 

 

 

全8章で構成されています。簡単なまとめと感想です。

第1章 国力衰退による円安

日本ではプラザ合意の後、多くの事件が起きる中で円高と円安を繰り返していた。

バブル崩壊アジア通貨危機など、多くの事件とともに3年ほどサイクルで繰り返していました。しかし、アベノミクスが始まって以降、為替レートがこのサイクルを外れ、円安方向にどんどん進んでいくという事態が起こっています。

為替レートはアメリカの金利操作と日本の為替介入で変化が起こっていましたが、アベノミクスでは為替介入はしていません。また二度にわたる金融緩和にもかかわらず、市中に出回ったお金の量は増えておらず、金融緩和の影響でもないと考えられます。ではなぜこんなにも円高方向に振れるのか?理由が幾つかあります。

日本を支えてきた「ものづくり産業」は衰退をつづけ、業績の改善があった業界も画期的なイノベーションによるものではなかった。生産年齢人口の減少の影響もあります。

貿易赤字は膨らみ、経常収支は赤字を出すようになりました。

日本の経済は猛スピードで衰退し、国力の差がではじめたのです。

 

第2章 株価上昇の正体

アベノミクスで変わったことというと、「円安と株高」です。

しかし日本の株価を動かしているのは海外投資家と5頭のクジラ。

アベノミクス当初は株価は海外勢に引っ張り上げられ、買い越しが亡くなってからは公的マネーである5頭のクジラによって株価が支えられてきました。

株価2万円の大台でメディアも盛り上がっていたのですが、ドルで換算してみると、株価は決して上昇してはいなかったのです。

2014年度だけで見ると、ドル換算での日本の株価はむしろ減少しています。

1年間で急激に円安が進んだためと考えられます。

日本の企業の業績は、上昇は円安の影響であり実際には改善していたわけではありません。日本のGDPは変化していないのに、官製相場の中で株価だけが急上昇しています。

今の株価は日本の実体経済を表しているものではないのです。

 

第3章 賃金も富裕層も激減

アベノミクスが始まって以来、その成果を示すものが多く出ているがその実感が国民にあるかというとそうではありません。

この15年間で賃金は減少してきています。

国民の賃金に関しては統計データが存在し、その数字は上昇してはいます。しかし数字を押し上げたのはボーナスなどでもらえる賃金であり、消費に影響する毎月もらえる賃金の方では大きな上昇はなく、物価の上昇も合わせた実質賃金で見るとマイナスとなっています。しかも賃金が上昇したのは一部の大企業に限った話であり、多くの人は物価上昇のあおりを受けているのみという状況になっています。

個人金融資産は6年連続で上昇とされています。

確かに株価の上昇によってその評価額が上昇しているのは確かですが、ここでもドルに換算してみてみると個人金融資産は減少しています。それにともない日本の富裕層も激減しています。富裕層調査のレポートで、日本の富裕層の数が減少しているという結果が出ています。

 

第4章 GDPは縮小、地価は下落

日本を取り巻く大きな問題の一つに生産年齢人口の減少があります。

GDPは労働者数と労働生産性を掛け合わせたものですが、労働生産性は先進国同士の間では大きく変わりません。ヒト・モノ・カネの移動が国を超えて行われるようになったこととインターネットの発達があるからです。となるとGDPの差が出るのは労働者の数となります。日本はこの労働者数が減少しているのでGDPを大きくすることは難しくなっています。

日本では銀行などの融資を受ける際には不動産価格が重要なファクターとなります。

バブル時代にも不動産価格が上昇していました。

日本では地価が重要視されているのです。

 

第5章 基軸通貨とは何か?

日本人がお金は何かと聞かれると1万円を思い浮かべる。

しかしそれは日本国内のみの話であり、海外ではお金と聞かれると1万円を思い浮かべることはありません。東南アジアでは自国通貨はあまり信用せず、ドルでの決済を望む国もあります。自国通貨の効果が及ぶ範囲が広いというのはその通貨の強さを意味するものであり、ドルはその意味で基軸通貨と呼ばれます。日本は先進国であり、日本円は国際通貨ではあっても基軸通貨ではありません。

お金が持つ機能とは

  • 価値の尺度
  • 交換の媒介
  • 価値の保蔵

の3つです。ドルはこの3つを満たすことができますが、日本円にはできません。

よって国際的な決済にはドルという基軸通貨が使われます。

 

第6章 円とドルの攻防

円とドルのレートが大きく変わったタイミングは3回あります。

そのうちの2回はニクソンショックと、プラザ合意でした。

3回目は今回の円安です。

幕末から現在までにおいて円とドルはさまざまな出来事を通してその関係を変化させてきました。はじめの2回の転換点では円高方向に動きましたが、

3回目の今回は円安方向に動いています。これまでの動きとは逆の方向です。

これまでは両国の関係を反映しながら一定のレンジの中で円安と円高を繰り返していましたが、そのサイクルから外れ、円安方向へと一直線へ進むようになっています。

アメリカは恒常的な財政赤字国です。また日本はアメリカの最大の債権国となっています。アメリカの赤字は日本の米国債買い、そして低い金利で手に入れたお金で海外へ直接投資することによってリターンを得ることで補填されています。

このように帝国循環と呼ばれる状態でアメリカに富を奪われてきました。

ここに日本とアメリカの関係を見ることができます。

アベノミクスはこれまでにない画期的な経済改革のように思われますが、

15年前のアッシャーレポートと呼ばれる文献の中に書かれた日本の課題がほとんど解決されていないことがわかります。

アベノミクスは目新しい政策ではなく、昔の方法を焼き直ししているにすぎません。

安政策が経済回復の要因にならないことがわかった今、ドルに対しての円のパワーが強くなることはなく、日本経済は衰退していくことになります。

 

第7章 中国人民元の挑戦

基軸通貨であるドルに対して、これまで何度か挑戦者が現れました。

ユーロはその一つであり、それはうまくいきませんでしたが

最近では中国が元で対抗しようとしています。

中国は人民元の経済圏を広げることを夢見ています。

陸の交易路と海の交易路を確保し、アジアにとどまることのない世界全体での経済圏を作ろうという「一帯一路」構想です。その一環としてAIIBを打ち立てました。

これにイギリスを始めとする欧州各国が参加するなど大騒ぎになりました。

この取り組みが成功するのかどうか。

実は過去にも日本がアジアに日本を中心とする大きな経済圏を作り上げようとする動きがありました。「アジア通貨基金」です。これは結局アメリカによってうまくいくことはありませんでした。

中国も同じような道をたどる可能性があります。

中国の公的なデータは信用できず、世界中の誰も中国経済の実情を把握していません。

今後も安定して成長を続けるかはわからず、また世界中の誰も中国が国際的な覇権を持つことを良しとしないのでうまくいかないと考えられます。

一人っ子政策による生産年齢人口の減少も挙げられ、中国の夢が実現することはありません。

 

第8章 円安貧乏とドルシフト

日米のGDPの推移を見るとその差は開く一方になります。

円安は金利差の変化や為替介入だけが理由で亡くなり、徐々に国力の差が

出ていることが明確になってきます。

お金を円のまま持っていては資産は目減りし、生活はより苦しくなっていく一方となります。すでに資産を持っている人々はその資産を円から他のものへ移動させる

「資産フライト」を行なっており、必死に自分の資産を守ろうとしています。

国はこれに対して出国税などを貸すようになっていますが、私たちは世界市場全体を利用して自らの資産を守る必要があります。

 

以上がまとめとなります。

あまりに長くなったので感想は次回に持ち越しします。