就職しないで起業家や独立を目指す人たちを見ていつも思う。
昨今、というか何度も議論のタネになっている話ですが、
若くして起業や独立を目指す方について、思うことを書きます。
特に誰かを応援したり、批判したりするものではなく、
台風のように沸き起こっては鎮まるのを繰り返す、騒動の様子を眺めながら、今思っていることを書くだけです。
騒動の渦中にいる人の心中はどうなんだろうか?
大学を卒業してすぐに、もしくは大学を中退して、起業をしたり自分でなにかしらの商売をはじめたりというような方が、最近はよく目立ちます。
それが良いか悪いかはともかく、大きな声をあげる人に注目があつまるのは当然のことで、そうすることでやってくるたくさんの批判や応援の言葉を見て、声をあげた本人が味わう気持ちはどのようなものなんでしょうか?
批判というよりも罵詈雑言にしか思えない言葉を吐いて捨てる人もいれば、
応援する内容ではあるもけど、「もし身内なら同じように声をかけてあげられるのか?」と思ってしまうような、無責任ともとれるコメントもあるように思えます。
社会を生き抜いてきた大人の意見や、実際に自分で仕事を始めた方の具体的で冷静なコメントもある。
いろいろな言葉で溢れかえっているコメント欄を見ると、もし自分が当事者ならどんな気持ちになるだろうか?と考えてしまいます。
多分、「書かなければよかった」という後悔や、「書いてしまった以上はやるしかない。」という強迫観念のようなものが生まれるかもしれないし、「書いたことで得られたものもあった。」と前向きな気持ちになることもあるかもしれません。どうあれ、心中穏やかではいられないと思う。
そんな状況に置かれると、常に不安な気持ちになりそうです。
僕には選べない選択肢
「ビジネスをはじめる!」と高らかに宣言した後、押し寄せてくる有象無象のコメントを、覚悟して受け止められるのであれば、それはもうメンタルの強さでは誰にも負けててない。そんな状況になってもめげずに自分の言葉を発信することを続けられれば、すでに他の人にはない資質があると思います。
経験したことがないことがないので想像するしかないですが、起業するのであればどうやって食いつないでいくのか?
というのは考えないわけにはいかないところです。
僕自身はまだ数カ月程度の短い証券会社員生活を経験しただけですが、それでも感じることはあります。自分で独立して仕事をしている方は、法人格を取っていない所も含めれば思いの外多くいて、毎日忙しそうで充実しているように思えますが、同時に苦しそうでもあります。
仕事のことをいつも考えているという経営者の話を聞いていると、
自分の商売がうまくいくかいかないか、商品が売れるか売れないかという危機感は、
僕らが単位をとれるかとれないか、留年をしてしまうか進級できるのかといって学生の時に騒いでいた時の危機感とは全く別のところにあるように見えます。
僕自身が感じていた学生の頃の危機感とは、周りに取り残されるという不安だったように思います。別に、単位が取れなくとも卒業が1年2年遅れても、大企業に入社してバリバリ仕事している人はいるはずですし。いますぐ生活に困るというようなことにはなりません。
一方で、企業に勤めずに自分で生計を立てている人々は、商売の行く末が自分の生き死にに関わってきます。僕には想像することしかできませんが、「今季は売り上げが悪かった」で終わっていいわけはなく、家族や社員の生活を守るために、もっとシンプルに飢えの苦しみから逃れるために、比喩ではなく文字通り生きていくために仕事をしなければなりません。
少し前にゴールデンボンバーがしゃべくりに出演していた時の動画をみましたが、売れなかった時代は炊飯器を数少ない機材の一つとして持ち歩いていたそうです。「エアバンドだから楽器よりも炊飯器の方が大事だった。」という話の流れは笑えるけど、全く笑えない。
生きるか死ぬかの不安を抱えつつ、企業に就職しようとしても採用してもらえる保証はなく、採用してもらえたとしても満足できる生活を送れるかもわからない、先行きの見えない方向に、思い切って進んで行く勇気は、僕にはありません。
経営者には憧れる
ですが、起業家や経営者に憧れはあります。
起業家を目指す選択は取れないとは書きましたが、僕自身も会社から独立して自分で仕事を始めたいという気持ちがあります。ただ、学生を終えてすぐに始めるには、経験も知識もなく、無謀でしかありません。ガッツだけを頼りに動くのも限界があります。
それに失敗した時の逃げ道も無い。「学生から起業して失敗しました。」という人が会社に就職しようとしても、ほぼ採用されることは無いだろうしフリーターのような生活になってしまいそうです。リスクヘッジとして考えてみると、失敗しても潰しがきくように何かの仕事は経験したほうが良い。
ということで、今は修行として証券会社で働いてます。本物の経営者に毎日会えるのは証券会社の良いところです。「朱に交われば赤くなる」という言葉があるように、大人から吸収できるだけ吸収してからでも遅くは無いと思う。