読書 国防音痴が、国を滅ぼす
おはようございます。
一冊本を読み終えたので簡単な感想を書きたいと思います。
今回読んだ本は、国防音痴が、国を滅ぼす という本です。
9月から読み始めてから新書ばかり読んでいるのでそろそろ他のジャンルも読んでみたいと思います。ちょうど昨日「強欲な羊」という本を買ってきたので読み終えたらまた
感想を書きたいと思います。
では、読んだ本についてですが、
タイトルは「国防音痴が、国を滅ぼす」
著者は豊田有恒さん。
巻末の紹介によると、本業はSF小説家であり
その他にも歴史小説や社会評論など幅広く執筆活動をされている方です。
丁度安保法案が騒がれている頃に本屋で買った本でした。
このサイトでも熱心に安保法案についてエントリが更新され続けていたのですが、
そこで紹介された本がこの本で、
まだこの本を読んでいないのですが、国防に関係のありそうな本を読みたいな〜ということで書店に立ち寄った時に見つけた本が今回読んだ本でした。
最初に思ったことは、こんなことを言ったら失礼ですが、この作者の方は間違いなくミリオタと呼ばれる分類の人だ・・・ということでした笑
なぜそう思ったのかといいますと、
第1章で銃や兵器の説明に文章を多く費やしているというのが一つで、
もう一つは、SF小説を書いていた時に銃器の記述に関して読者から猛烈な指摘があり、そのことから勉強したと書かれているのですが、
その内容についてちょっと引用してみると
その後、これではいけないと、勉強した。「軍事研究」誌は、あれから四十年以上も購読しつづけ、隅から隅まで読んでいる。また、「防衛白書」、「自衛隊装備年鑑」など、多くの資料に目を通してきた。単に勉強ばかりでなく、実際に機会をとらえて、銃器を撃ったりもした。ロスアンゼルスのコンバット・トレイニング・センターに通って、初歩的な銃器の扱いも習ったことがある。
この後も細かい銃器の違いやサブマシンガンの設計思想まで、
もともと興味はなかったという割には尋常じゃないほどの労力をかけて取り組んでいたことが伝わってきます。世間一般で言われるような悪いイメージのオタクではなく、もっと情熱と真剣さをもって物事を極めていくようなタイプのオタクであるという印象でした。
一般的な人からしてみれば銃器のことなんて知らないのが普通だとは思うのですが、
ここまでの知識はなくとも銃器などに関する基本的な軍事知識について、日本人はあまりにも無知であるそうです。
日本にいる限り銃なんて触る機会がないから当然といえば当然なのかもしれません。
では、どうしてそんな状態になってしまったのか、アメリカによる戦後教育が背景にあるそうです。
戦争については、小学校や中学校で嫌というほど戦争の悲惨さについて
学ぶ機会がありました。修学旅行では広島に行って原爆ドームを見学したり
空襲を経験した方のお話を聞いたりといったことです。楽しいものではありませんが、じわりじわりと戦争に対する忌避感が育っていったことは確かです。
平和憲法を初めとする戦後教育の中で、日本は人に戦争に対する忌避感と、
戦争を起こしたという「自虐史観」を植え付けられ、それが今の日本の安全保障に大きな悪影響を与えているといいます。
夏の安保法案では激しい反対にあいました。60年安保闘争も大変な騒動だったと聞きます。戦争が好きじゃないのは誰しも同じだけども、では戦争を起こさないようにするにはどうするのか?
そういう議論をするべきなのに、戦争を想起させることが起こるたびにある種思考停止に近いような反対ばかりが目立ち、議論をすることができていないのが良くないそうです。
日本人はアメリカの戦後教育によって戦争責任について自覚させれ、そのことによって必要以上に、日本人は戦争犯罪を犯した者たちとしての負い目を持ちすぎている。
そんな自虐史観を植え付けられた今の状態から意識を抜け出さなければならない。
平和を愛するのは当然であり、戦争をしたくないと考えている人間が大多数だが、ただただただ反戦を唱えていれば平和がもたらされるというわけではなく、
そのために必要な基本的な軍事、安全保障についての知識を身につける必要があるのではないか。
ということでした。
確かに、9条教と某掲示板で揶揄されるくらいには反対派のデモは印象が悪いものもありましたね。
また反対派のデモや言論がある中、安保法案の必要性を訴えている人もいましたね。
上の方で紹介したブログも戦争を起こさないためにはどうするかという部分がかなり考えられてました。
この安保法案が良いのか悪いのか、正直わかりませんが、
読んでいて印象的だった部分が一つありました。
自衛隊についてです。
「自衛隊は憲法からしてみれば違憲となるかもしれないが、国防のためになくすことはできない。必要悪だ。」というような意見があることに対して、
「有事の際に日本を守る任務に当たる彼らのことを必要悪だなどと言うな。」
という部分です。「彼らの職業としてのプライドを傷つけておきながら、
何かがあれば自分たちを守ってくれというのはあまりにも身勝手だ。」
というのですが、確かにその通りだと思いました。
安保法案の騒動の時には、自衛隊の隊員がどう思っていたのかはわかりませんが、志願して入隊するとはいえ、災害の救援など、命令があれば任務に出向き、場合によっては命をかけることになるかもしれない彼らのことをもっと感謝してもバチは当たらないなと思います。
全体的に文章中から日本人であることをもっと誇って良いという思いを感じました。
また中国や韓国に対してはちょっと言葉使いが荒い部分があるので、
民族主義的な、ナショナリズム的な考えに近いものを持っておられるように思います。
最後の方では、人類の祖先、原人や猿人のころからの進化の過程を想像しながら、
人は殺すことが好きなのではないか?
ということについて考えています。いきなり話が飛んでいるような気もしますが、
作家さんの本分ということで読み応えがあります。
他にも、電子レンジなんかは初めはアメリカの技術者が殺人ビームを開発しろと命じられて作ったものを、民間に転用したものがその始まりだったそうです。
日本の高速エレベーターも、海上空母に飛行機を乗せるとき、甲板の上だけでは十分なスペースがないから空母の中に搭載していましたが、その搭載機の発進までの時間を短縮するためのエレベーターの技術があったからこそ、今の日本のエレベーターの技術があるそうです。
考えてみれば、軍事品を輸出していない日本はそれ以外の製品だけで先進国に上り詰めたんですよね。技術立国日本。誇れると思います!
軍事的な知識への興味がそそられる本でした。
防衛白書とかちょっとよんでみようかな笑