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「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書) を読みました

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 こんばんは。読書感想文第二弾ということで、今回はこの本を読みました。

 

 

作者はフランス人のエマニュエル・トッド氏で歴史家であり、人類学者です。

巻末によると 

国・地域ごとの家族システムの違いや人工どう歌いに着目方法論により、「最後の転落」(76年)で「ソ連崩壊」を、「帝国以後」(2002年)で「米国発の金融危機」を、「文明の接近」(07年、共著)で「アラブの春」をつぎついに「予言」。「デモクラシー以後」(08年)では、「自由貿易が民主主義を滅ぼしうる」と指摘。

 

という紹介がされています。

作者とインタビュアーの対談形式で文章が進み、インタビュアーの質問に対して

作者が答えたものを文章に書き起こされています。

 

初めから最後までドイツが大きなテーマであり、

今ヨーロッパに起きている問題がドイツによって引き起こされていて、

それにどうやって対応するのかという話となっています。

紹介にあるように、歴史的経緯などからその国の国民性やその価値観を理解したり

出生率や乳児死亡率からその国の情勢を見たりと他ではみられないような視点を持って議論をしています。ここが印象的でした。

 

要旨

  • EUの中でドイツが一人勝ちしている。
  • アメリカはヨーロッパにおける地位を落とし、ドイツが覇権をもっている。
  • ウクライナ情勢を通して、ロシアは戦争をしたいとは思っていない。
  •  ドイツの台頭とヨーロッパの危機を覆せるのはフランスである。
  • しかしフランスはドイツに自主的隷属状態にある。
  • 政府は金融寡頭勢力によって支配されている。
  • ユーロはヨーロッパを崩壊させる。

 

EU各国のGDPを見比べてみるとドイツが抜けていることや、

安い労働力を得られる海外で部品を生産し、国内で完成品を作って輸出するという方法で利益を重ねていることから経済的にドイツが一人勝ちしている。

 

ウクライナ問題では、

ロシアの乳児死亡率をみるとソ連の頃に比べてかなり改善している。

乳児死亡率の低下は、その国の社会基盤が安定していることを示し、

つまりロシアは現在復興途上といえる。

なのでわざわざ評判を落とすような戦争をしたいとロシアは考えていない。

ガスのパイプラインウクライナを多く通過しているから供給源を断たれるのでは?

という不安からウクライナを通らない新たなパイプラインを作る考えがあるが、

実はパイプラインの終着点はほとんどがドイツにあり、今のままの方がドイツにとっては利益となる。

 

やはり著者がフランス人だからか、自分の国のことに多く言及しています。

「フランスのエリート階級はドイツのことを神格化しており、彼らの言うことに従い続けてしまったので、ドイツの台頭を引き起こしてしまった。

しかし、この状況を覆すことができるのもまたフランスなのである。」

と語っています。

 

政府には力があるけれども、それは金融寡頭勢力によって押さえつけられており

金融寡頭勢力のための政治が行われ続けている。

ヨーロッパでは階級社会がすでに出来上がりつつある。

この階級社会を転覆させたいというのではなく、時には政府が民衆の側に立って

政治を行うことが必要であり、それができていない。

よって

  • ドイツとの対話
  • 銀行の国有化
  • 政府債務のデフォルト
  • 教育の見直し

の4つの政策が必要である。

 

という具合でした。

読んでみての感想ですが、第一印象は「読みにくい」です。

 

言語の違いがあるからか、あまり普段日本では使われない言葉が多かったり、

言い回しが直接的でなく、遠回しなものが多かったので繰り返し読んでもわからない部分がありました。

 

読解力が足らないのはもちろんですが、ヨーロッパについての前提知識も不十分な状態で読み始めたので、理解できるところが少なかったというのもあります。(言い訳笑)

 

日本ではヨーロッパのことはあまり報道されていません。

地理的に遠いこともあり、向こうでは切迫しているであろう難民問題も

日本では馴染みがなくその問題の大きさについて実感が湧きません。

 

でも、知らなかった分ヨーロッパについて興味を抱くきっかけにはなりました。

ヨーロッパと一括りにされて呼ばれていますがEU加盟国は28カ国もあります。

 

小学校一クラスを構成できる数です。僕の小学校のクラスはいつもカオスでした笑

あれ以上の多様性と喧騒を「ヨーロッパ」という言葉にに込められてると思うと面白いですね。

 

日本からみれば単一に見えるヨーロッパも

それぞれ国があるし、文化もあるし言葉や民族も複数存在しています。

その辺にもっと詳しくなってから改めてこの本に挑戦したいと思います。